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折口会長の経歴と説明



注)本項は日経ビジネス(2007年6月18日号)の記事より抜粋させていただいています。
折口雅博会長の経歴 1961年6月東京生まれ、46歳。
防衛大学校(理工学専攻)卒 日本ユニパック(現日本ユニシス)を経て85年に日商岩井入社。 その後ディスコの運営を経て、95年グッドウィルを設立し会長。 2000年から最高経営責任者(CEO)も兼任。97年にコムスンに資本参加し、 後に社長、会長となる(2005年に退任)。


【折口会長談】

私どもとしては、お客様へのサービスを切らしてはならないという思いが強かった。それで、処分を受けたその日のうちに、コムスンの全事業をグッドウィルグループの連結子会社である日本シルバーサービスに譲渡することを決めました。
これだけは強調したいのですが、厚労省の処分を骨抜きにしようという意図は私どもにありませんでした。
対応を急いだのは理由があります。1拠点でも取り消し処分を受けると、いわゆる連座制が適用されて、コムスンのすべての事業所でサービスが提供できなくなってしまうからです。
事業譲渡はあくまでもセーフティネット(安全網)だということです。

【違法請求】
私どもに対していろいろな問題が指摘されているわけですが、振り返ってみると、昨年12月末の報道がきっかけでした。内容は「コムスンが組織的に介護報酬を過大請求している疑いがあるとして東京都が立ち入り監査を行った」というものです。
記事を見た瞬間、そんなことはあるわけがないと私は思いました。
調べてみると、一般の言葉で定義される「水増し請求」はしていませんでした。やってもいないサービスについて架空に請求するとか、利益を増やすために請求額を多くするとか、そういう行為はしていなかった。
ただし、私どもにも問題がなかったわけではありません。 介護サービスを希望する方は、介護支援専門員(ケアマネージャー)に依頼して、どのような介護サービスをどれだけ利用するかという計画(ケアプラン)を作成してもらいます。
コムスンの一部事業所ではケアプランにかかれていないサービスを提供し、その分を請求していた。これが「不正」とみなされました。
問題は、ケアプランが実際の介護の中身に即していなかったということです。
典型的な例が、通院介助です。お客様が病院に行かれる際、病院の入口までは介護保険の対象。そこから先の病院内部は病院のスタッフが介助することになっています。
ところが、私どもの従業員が病院の入口まで連れて行っても、病院側のスタッフがいないことがよくあります。その場合、介護を必要としているお客様を外で待たせているわけにはいきません。当然のことながら、病院の内部までお連れするわけですが、それは介護保険法の規定に反するので「不正行為」とされてしまうのです。
同じような矛盾は清拭(せいしき)にもあてはまります。おむつを交換したら中が汚れていた。汚れていたのがわかったら、その部位をきれいに拭いてあげるのは人間としてごくあたりまえの行為ではないでしょうか。しかし、ケアプランにおむつ交換としか書かれていない場合、それで清拭をすると不正請求となってしまうのです。
誤解してほしくないので申し上げますが、30分以内の身体介護であれば清拭を追加しても請求額は変わりません。請求額の増加になっていないのに、ただケアプランの項目と違う行為をしただけで、不正請求とみなされてしまうのです。
ぞれぞれの介護サービスをつぶさに見ていけば、当初のケアプランとの違いはどうしてもでてきます。もちろんケアマネジャーにお願いして、ケアプランの記載内容を直してもらえば済む話です。
しかし、忙しい介護現場で修正を忘れてしまったとか、頼んだけど修正されていなかったとか、そういう手続き上のミスが起きてしまっていた。

【処分前の事業所廃止】
もう一つ批判されているのは、取り消し処分を受けた事業所を処分前に廃止していた問題です。
これに関しては私は樋口社長に指示したわけではありません。ただ「取り消し処分を受けたら事前に事業所を廃止しようと思います。」という考えを、樋口社長から私は事前に聞いていました。
適法であるが好ましいことではないことは認識していましたがお客様に介護サービスが提供できなくなるのは大変なことです。そう考え了承したのです。
介護サービスという性質上、事業の継続性は重要な要素です。にもかかわらず、1か所でもバツがついたらすべてがダメになるという連座制は、正直厳しいなという印象があります。ただ、介護保険のルールをきっちりと運営していくという立場を考えれば、そういう厳しい面も必要なのであろうと思います。

【総括】
「介護を食い物にしている」という批判に対しては心外というより、本当に情けない気持ちでいっぱいです。私どもは、志と理念を持ってこれまで介護事業に取り組んできたつもりでした。
利益のことだけ考えれば、赤字の介護事業は売却するという決断は企業として 当然あるわけです。それでも日本の介護をよくしたいという思い入れを持って経営してきた。それゆえに、管理上の不備が重なって批判を受けていることが悔しくてしかたがありません。
今後の課題は、グループ内部のガバナンス(企業統治)体制をいかに整備するかということです。